2012年3月30日金曜日

ハインリッヒ・ディンケラッカー(Heinrch Dinkelacker)のダービー・フルブローグ

 ヴァーシュ(VASS)を扱っている海外業者を捜していたところ、Budapesterというサイトを見つけた。取扱品を眺めているとヴァーシュのほかにディンケラッカー(Heinrich Dinkelacker)の靴も販売している。ディンケラッカーは、以前いずこかで小耳に挟んだ事があり(雑誌で見たのかもしれない)、見た目はゴツいが履き心地のいい靴という認識であった。改めて写真を見ると、確かに独特のフォルムである。

 Budapesterは、PayPal支払い可能で、品揃えも豊富であったので食指が動いたが、OnlineShopは完全ドイツ語という不安もあり(購入方法は何となくわかるのだが・・・)、英語ではメールオーダーのみなので、注文にはいたらなかった。
 国内ではヤマザキ屋というお店で購入できるのだが、いかんせん所在が松本である。靴を買う為にそこまで旅行する気にもならず、なんとなくあきらめていた。

 ところが先日、menSHOES.deというサイトで購入できる事を掲示板で知った。幸いな事に英語対応で、クレジットカード決済可能である。ディンケラッカーの公式サイトからリンクされているので、それなりは信用できるであろうと思い、オーダーしてみた。
 現地時間の土曜日早朝にオーダーしたにもかかわらず、(現地時間の)当日中に発送した旨のメールが届き、週末には届いた。流石はドイツ人。勤勉である。


 今回は、外羽根のウィングチップをオーダーした。Zürichというモデルであり、有名なRioのダブルソール版のようである。WidthはGにあたる。羽根の形状も関係していると思うが、以外とぽってり感はない。

 上から見るとこんな感じである。つま先から甲の立ち上がり部分までが低くフラットである。いわゆるブダペストスタイルという物であろう。

 こちらはヒール部分である。補強用の釘が20本打ってある。こういうのを見ると嬉しくなってくる。

 雨の日にも気兼ねせずに履けるよう、LIGHT RUBBER SOLEのタイプを選んでみた。ラバー部分には「Heinrich Dinkelacker」の刻印が並んでいる。ここら辺のセンスは謎である。
 よくよく考えてみると、アッパーはアニリンカーフであり、やはり雨の日は気が引ける気がする。あまり、ラバーの意味はなかったかもしれない。


 一度足入れをした感想であるが、履き心地は今までの靴とは一線を画す物であった。WidthはGであるが、英国靴のGよりも広く感じる。同サイズのパラブーツシャンボードと同じか、それ以上の広さであろう。指は全く当たらない。また、甲周りの部分のフィットがよく、どうやら土踏まず部分と甲の部分で足を支える作りのようである。噂に違わず非常にコンフォートであるのに、全く緩くない。素晴らしい。

 今回は、純正のシューキーパーと配送料・関税込みで6.7万円程度であった。配送業者はDHLである。もし仮に、ヤマザキ屋で同クラスの物を購入したとすると、その差額は2万円程度であろう。サイズ不一致のリスクと、店舗でサポートを受けられる事を考えれば、個人輸入のメリットは少ない。私もヤマザキ屋の近辺に在住であれば、迷わず実店舗で購入したであろう。
 まあ、メリットはともかく、靴自体は大変コストパフォーマンスが高いと思う。非常に良い買い物であった。

2012年3月29日木曜日

W.H. Taylor Shirtmakersのシャツ

 私が個人輸入を始めたきっかけの一つは、とある個人輸入サイトに影響を受けた為であるが、そのサイトで見つけたのがColes Shirtである。
 聞いた事のないメーカーであったが、とりあえずリンクをたどってみると、W.H.Taylor Shirtmakersのサイトが開いた。サイトを見る限りでは、なかなか良さそうなメーカーであったので興味がわいたが、なにぶんColes以上に正体不明である。とりあえずブックマークだけして放っておいた。

 さてその後、Hilditch & Keyでシャツを注文し、手元に届かないのが確定的と思われていた頃、先のサイトを思い出して少し調べてみることにした。Hilditch & Keyの代わりを務めさせようとしたのである。ある海外の掲示板で、W.H.Taylor Shirtmakersの由来を知る事が出来た。

 Coles Shirtsは、1992年にAlex Finch氏(Jermyn Streetの重鎮であるらしい)が買収し、その2年後に氏は、同社をKnightsbridgeからJermyn Streetへ移転させた。その後2006年、北アイルランドを拠点としていたGlenaden Shirtsが、Alex Finch氏からColesを買い受ける事となった。2008年に、Glenaden Shirtsは破産の危機に陥り、Colesの一部門であったWHTは"競業"を条件にMBOを行い、Glenaden Shirtsから分離した。W.H.Taylor Shirtmakersの名で取引をしているが法的にはColes Distribution Limitedであるらしい。

 翻訳はかなり怪しいが、要するに「W.H.Taylor Shirtmakers=Coles Shirts」という事らしい。調べ上げた達成感に満足しつつ、早速オーダーした。

 W.H.TaylorはMTO方式を取っており選択肢は多い。ダブルカフとボタンカフ、ポケットの有無、スリムフィットとレギュラーフィットなどが選択可能である。また、セール品と白シャツ以外はクレリックに変更する事も可能なようである。裄丈も1インチ単位で4種類設定してある。

 さて、W.H.TaylorのHPによれば、オーダーから発送まで15営業日程かかるとのことである。ただ、英国企業なので納期は当てにしない方が良い。結局、今回は到着まで1月半かかった。

 ステッチの細かさや、ボタンの付け方などの全体の作りは、Hilditch & Keyよりも丁寧であるが、生地は、Hilditch & Keyの方が上等な気がする。今回SlimFitを選択したが、国産の平均的なシャツと同じようなフィッティングである。裄丈はHilditch & Keyと同じく、「選択した長さ+スーツの袖から覗く部分」と言う印象を受けた。

 ボタンはMOPである。比較的丁寧とは書いたが、英国企業にしては、なので期待してはいけない。もちろん、雑な部分もある。今回は、ボタンホールの不始末が1カ所あった。
いいかげん、このくらいでは何も感じなくなった。余った糸をハサミで切り落として終わりである。

 価格は2枚で、送料込み£99であった。1カ所難点はあったが、オーダーオプションも多く、なかなか良いのではないかと思う。

2012年3月17日土曜日

ヒルディッチ&キー(Hilditch & Key)のシャツ〜その2

 さて先日、覚えのない郵便不在票がポストに入っていた。その前日にマクロスティのベルトを受け取ったばかりなので、再配達時のものと思ったが念のため問い合わせてみた。すると、どうも別の荷物らしい。
 早速受け取りいくと、箱には「Hilditch & Key」の文字があった。何と発送から二ヶ月掛けてのご到着である。

 中には、注文通り二枚のシャツが入っていた。

 サイズ感が不明だったので、通常のボタンカフの物とSlimFitの物を注文している。通常サイズは、かなり大きい。ブルックスブラザーズのTraditionalFitくらいの、ゆったりした身頃である。SlimFitの方は、まあ普通の国産シャツサイズといったところであろうか。
 裄丈は、オーダー時の入力サイズ+1.5cm程の長さである。スーツを着たときに、カフス部分が袖から覗く分を考慮に入れているのであろう。つまり、スーツの裄丈サイズを入力すればちょうどいい計算になる。やはり、シャツの実測値とスーツの裄丈のどちらを設定するのか良いのかは、オーダーして見ないと分からない物である。

 ボタンはMOP(マザーオブパール)である。BARBAなどのナポリシャツのような厚みはないが、大振りで見栄えがする。前たて部分の補強もしっかりとしてあり丈夫そうだ。

 基本的にマシンメードのスタンダードな作りで、イタリアシャツのようなハンドのギミックはほとんどない。ただ、RegularFitの方にはガゼットが付いていた。また、裄丈の直し等、若干雑な部分はある。察するに頑丈さ優先で作っているのだろう。
 ちなみに丈は相当長い。裾が太ももの半ばまで伸びている。流石は正当な英国シャツである。ヒルディッチ&キーのシャツでそんな事ををしようとする方はいないとおもうが、裾出しで着用する事は、とても出来ない。

 生地は素晴らしい。白のポプリンと青のEnd-on-End(刷毛目)を選んだのだが、刷毛目の生地がこんなに良い物とは思わなかった。

 セール品であるので、裄丈の直し代込みで1枚£63であった。直し代が£9であるのと、直しが若干雑であるので、国内で直しても良かったかもしれない。それでも円高もあり、送料込みで1枚当たり8,000円弱であるので、いい買い物であったと言えよう。
 なにより、あきらめかけていた物が思いもかけず手に入るのは、うれしいものである。

関連項目

2012年3月16日金曜日

ヒルディッチ&キー(Hilditch & Key)のシャツ〜その1

 あきらめかけていたものが思いもかけず手に入ると、なかなか嬉しいものである。たとえそれが、本来手に入ってしかるべきものでもである。


 昨年の暮れの事であるが、普段愛用しているメーカーズシャツ鎌倉のシャツが何枚かすり切れてきた。当時はセール時期であったので、ちょうど良い機会と思い、ヒルディッチ&キーでシャツを注文する事とした。ヒルディッチ&キーは以前から目を付けていたが、価格が高く、セールでもないと手が出にくいのである。


 スタンダードな作りのWebShopであるので注文自体は難しくない。ただ、裄丈が長いので直しを依頼した。Change Sleeve Lengthの欄をYesと選択して、出現するボックスにinch単位で裄丈を入力するのである。以前にBOOKSTERでジャケットをオーダーしたときに体の各サイズを把握していたのが役に立った。


 さて、オーダー後の注文確認メールを受取り、一ヶ月程配送を待ったが動きがない。クリスマス休暇を挟んだ事と裄丈の直しがある事を考えても少し長過ぎる。そこで、確認のメールを送った。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
Dear Hilditch & Key,


I would like to ask you about my order of December 20th.(Order Number: XXXXXXXXX)
Would you let me know when you will be able to ship the order?


I’m looking forward to your reply.
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 要するに、発送時期を教えてほしい旨である。当日中に連絡があった。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
Dear XXXXX


I can confirm that your order was shipped on the 19th January & the tracking no is as follows. XXXXXXXXGB & the shipper was Royal mail international post.


Regards
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 1週間程前にRoyalMailで発送済みのようである。そこで、トラッキングコードを追跡してみた。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
Your item, posted on 19/01/12 with reference XXXXXXXXGB was delivered in UNITED STATES OF AMERICA on 28/01/12.
Thank you for using this service.
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 ・・・・?。何故かアメリカに送られている。その後、1週間程待って商品が到着しないのを確認後、RoyalMailとヒルディッチ&キーに再度確認のメールを送った。
 RoyalMailからは、ヒルディッチ&キーに問い合わせてほしい旨のメールを受取り、ヒルディッチ&キーからの返答はなしのつぶてであった。


 ヒルディッチ&キーが商品を送ったと勘違いしているか、RoyalMailが誤配送しているかのいずれかであろうが(どちらもありそうに思えた)、いずれにせよ真相は薮の中である。
 そのような経緯があり、ヒルディッチ&キーのシャツを半ばあきらめかけていた訳である


関連項目

2012年3月15日木曜日

マクロスティ(McRostie of Glasgow)のベルト

 今は場所を移してしまったが、アメ横の御徒町駅付近にOD-BOXというアートスポーツ系列のアウトドア専門店舗があった。そこでは、理由は不明であるが、BarbourやFilsonなどのスポーツとは少しかけ離れた製品も扱っており、マクロスティのベルトも2種類だけ販売していた。

 マクロスティ(McRostie of Glasgow)は1887年創業の馬具メーカーで、以来、革製品を作り続けている。
 ブライドルレザーを使ったハンドメイドの革小物が有名で、私も、マクロスティ=ベルトという認識である。
 ただ、ベルトを作り始めたのは(その歴史に中では)比較的最近のようで、1980年代にグラスゴーの小売業者からアプローチを受けたのがきっかけらしい。
 今では、そのベルトが看板商品となった訳である。

 購入後、なかなか気に入ったので何時かもう一本と思っていたが、いつの間にか値段が上がってしまい高嶺の花なっていた。
 先日、オンラインで注文できる事を発見し、丁度ベルトが数本ヘタってきていたので注文してみる事にした。

 オンラインショップでは、ベルトの種類・サイズ・色・バックルを選択して注文する形式になっている。例によって最大の問題はサイズである。経験上は、ズボンのサイズ+2インチぐらいでちょうど良くなると思われたので、その長さで注文した。サイズが不安なので様子見を兼ねて、今回は一本だけの注文である。マクロスティのベルトは、オーダーの性質上MTOであり、注文から発送まで10営業日程かかる場合もあるらしい。今回は、注文から2週間程で到着した。


 ベルトの裏にはMade in Scotlandと銘打ってある。

 今回は、raisedタイプという、2枚の革の間に芯となる革を挟んで縫った形式の物をオーダーした。予想以上に薄くしなやかである。鎌倉シャツで購入したベルトと比べても遥かに薄手である。


 幅は、28mmの物を選んだ。ホームページではスーツにはこの幅がおすすめとあったからである。細すぎないかと不安であったが問題はなさそうだ。サイズも丁度良い感じである。
 タイプは12種、色は8色、バックルは4種類と組み合せが豊富であるので、しばらく楽しめそうである。