そもそも、私が靴に関心を持ち始めたのは、落合正勝氏の「男の服装術」を読み始めた事がきっかけである。従って、靴だけではなく「クラシコ・イタリア」を冠した製品に興味がいくのは当然の成り行きであった。
とはいうものの、安月給でそうそう手が出るはずもなく、指をくわえて見ている事がほとんどであった。もっとも、状況は今でもさほどかわらない。
ただ、ボーナスが出たときなどは、背伸びをしてBARNEYS等に買い物に出かけたりした。スーツなどとても買えないので、もっぱらシャツとネクタイ狙いである。
当時は、「クラシコ・イタリア」のシャツと言えば、フライ(Fray)とルイジ・ボレッリ(Luigi Borrelli)が有名であったが、それぞれ4万円/3.5万円程度の価格で当然ながらあきらめざるを得なかった。BARNEYSオリジナルのシャツであれば1万円台前半で手に入ったが、日本製であり、それは何かが違う気がしていた。
そこで、妥協案としてバルバ(BARBA)のシャツである。後付けの袖やハンドのボタンホール・ガゼットなどのディテールを持ちながらハンドの比率を落として、ボレッリの廉価版という立ち位置にあった。価格も当時は2万円弱で、なんとか手に入れられる限界にあった。
そういう理由で、我が家にはBARNEYSネームのバルバが3枚あり、たまに袖を通すと少し懐かしい気分になる。
さて、そんなバルバも今では3万円台半ばの価格となり、ボレッリと肩を並べるに至った。高嶺の花になった訳であるが、最近、かなり安く購入できる海外サイトを発見したので、久しぶりに取り寄せてみた。
ボレッリも扱っていたので、1枚ずつである。送料込みで2枚合わせて$350、3万円弱という事であろうか。かなりお高いがこれでも安く手に入った方であろう。PayPal決済で、注文から1週間程で到着した。関税はなかった。
今回始めてボレッリを購入したのであるが、値段の理由が分かった気がする。見た目はバルバの方がスマートだが、ボレッリは広げてみると随所にハンドで仕上げた痕跡がある。
これは襟の部分であるが、ハンドで取り付けてある。
また、前立て裏にも手が入っている。めくれ防止であろうか?
その他、肩・ボタンホール・ボタン・前立ての閂など執拗に手が入っている。流石は「クラシコ・イタリア協会」会員という事であろうか。
今回は、両方ともSlimFitを選択した。BrooksBrothersのExtraSlimよりはルーズである。また、全体的にボレッリの方が少し大きい感じがする。特にボレッリのカフス部分は太めで、直しが必要かもしれない。生地は双方文句無しである。
大変良い買い物であった。ネクタイやパンツも扱っているので、また購入したいと考えている。